米澤 隆弘

研究代表者
広島大学・統合生命科学研究科・教授

専門はゲノム進化学です。系統地理学や集団動態学的解析を通して生物種の起源や進化史を探り、それらが環境変動に対してどのように応答してきたのかを解き明かそうとしています。現在は特にニワトリをはじめとする家畜の起源と地理的伝播プロセス、適応形質の進化史に着目し研究を進めています。

班員(研究分担者)と担当研究テーマ

  • 万年英之(神戸大学):日本在来牛および在来山羊の起源と進化史
  • 西堀正英(広島大学):日本在来豚の起源と進化史
  • 山本義雄(広島大学):日本鶏の起源と進化史
  • 呉 佳斎(広島大学):バイオインフォマティクス・集団ゲノム学解析

研究概要

 家畜や栽培植物は人類史上最高の発明品と言われているように、人類の歴史を大きく動かしてきました。また家畜や栽培植物は食物の供給源という役割のみならず民俗、宗教儀礼など人の精神面とも深く結びついており、しかも人為的に伝播する生物であることから、文化圏間の物質文化の交流を理解するうえで極めて重要です。本研究プロジェクトでは、日本の在来家畜の起源を探ることで日本列島における先史人類史に光をあてようとしています。具体的には中国や韓国をはじめとするアジア在来家畜のゲノムデータと比較し、日本列島への経路や伝播年代、適応形質などを解き明かしていく計画です。

写真)日本では、日本鶏(左:オナガドリ(都築政起名誉教授撮影))をはじめ多様な品種の家畜が作出されてきたが、その地理的起源などははっきりと分かっていないものが多い。また琉球諸島では現在も未記載の未改良な家畜集団(右上:石垣島のニワトリ、右下:石垣島のブタ(高田勝氏撮影))が発見されている。こうした集団は遺伝子資源としての重要性にとどまらず、日本の家畜の歴史を理解するうえで重要な情報をもたらしてくれるかもしれない。