小金渕 佳江
研究代表者
東京大学・大学院理学系研究科・助教
研究概要
古い時代のヒトを取り巻く環境を明らかにすることは、彼らの生活の実態や、集団成立過程の解明に重要な情報を提供します。生物遺物のDNAを直接分析する古代ゲノム学が一般的になって久しいですが、近年ではヒト以外の生物への展開が進んでいます。その一つとして、古代感染症研究が広がりつつあります。古い時代の感染症の病原体ゲノムを明らかにすることは、衛生状態を明らかにするだけでなくヒトの移住プロセスを明らかにすることにも貢献します。そこで本研究では糞石を対象として、特にそこに含まれる寄生虫DNAに注目し、先史時代の寄生虫の存在の実態や拡散過程、環境適応について議論し、ヒトの拡散との関連について検討していきます。この結果をヒトそのものの集団動態とともに解釈をすることで、ヒト自身とその周辺環境との統合理解を目指します。