蔦谷 匠
研究代表者
総合研究大学院大学・統合進化科学研究センター・助教
ヒトを含む動物遺体を中心とした考古遺物の安定同位体分析や古代プロテオーム分析を実施してきました。公募研究においては、糞石の古代プロテオーム分析に取り組みます。
研究概要
農耕や交易の影響で琉球王朝時代に琉球の人びとが潜在的に得られた食資源は多様化しますが、実際にどのくらい多様な食物が人びとに摂取されていたかは不明です。本研究では、琉球王朝時代に由来する糞石に対し、古代タンパク質を網羅的に同定する古代プロテオミクスを適用し、食物に由来するタンパク質を高解像度に検出します。また、現代の霊長類の糞を利用して、より効率的なタンパク質抽出のための前処理法も確立します。これにより、亜熱帯生態系に由来する在地のもの、交易によって得られた「エキゾチック」なものなど、実際に食べられていた食物の分類群や部位までも明らかにし、動物遺存体や花粉などの考古学的知見と比較します。琉球王朝時代の食の多様性を貴重な遺物と新規な手法で高解像度に復元することで、琉球列島の独自の歴史と文化の一端を解明することを目指します。