那須 浩郎

研究代表者
岡山理科大学・基盤教育センター・准教授

専門は考古植物学です。遺跡から出土する植物の形態解析や組成解析から、栽培植物の進化と農耕の起源について研究しています。農耕以前の旧石器時代から縄文時代に日本列島に持ち込まれた移入植物や、弥生時代以降に農耕とともに伝来した随伴植物(雑草)の歴史についても研究を進めています。本領域では、遺伝学が専門の研究分担者と協力して、形態とゲノムの双方から、栽培植物の進化史と日本列島に移入した植物の歴史に迫りたいと思います。

班員(研究分担者)と担当研究テーマ

  • 内藤 健(農業・食品産業技術総合研究機構・遺伝資源研究センター・上級研究員):アズキ・ヒエ・クリのゲノム解析
  • 石川 亮(神戸大学・農学研究科・准教授):イネの遺伝解析
  • 菅 裕(県立広島大学・生物資源科学部・教授):ウルシのゲノム解析
  • 大田竜也(総合研究大学院大学・統合進化科学研究センター・准教授):植物ゲノムの進化学的解析

研究概要

 本研究の目的は、考古学と遺伝学の統合により、先史時代の日本列島における植物の移入・ドメスティケーション・品種改良の歴史を明らかにするための方法を確立することです。本研究では、1)ウルシに着目した旧石器時代における外来植物の移入についての検証、2)アズキ・ヒエ・クリに着目した縄文時代における植物のドメスティケーションの有無の検証、3)イネに着目した弥生時代におけるイネの品種と渡来経路や拡散過程についての検討を行います。さらに、遺跡出土植物の古DNA解析にもチャレンジし、より直接的にこれらの歴史を検証することを試みる予定です。新たな学問領域であるIntegrative Bioarchaeology(統合生物考古学)を構築するために、本計画研究では植物考古学と植物遺伝学を統合したいと考えています。