加藤 博文

研究代表者
アイヌ・先住民研究センター・教授

B02班の研究代表者の加藤です。ヒトとモノのクロスロードでもある北海道島を舞台に先史文化、動物利用、地球環境学の観点から領域横断的な共同研究を通じて集団と文化の形成の復元に取り組みたいと思います。また夏季にはフィールドスクールを企画実施してまいります。フィールドでの議論と新たな研究シーズの展開を期待しておりますのでぜひご参加ください。

班員(研究分担者)と担当研究テーマ

  • 内山幸子(東海大学・国際文化学部・教授):北海道島における家畜動物に関する動物考古学的検討
  • 鈴木建治(北海道大学・文学研究院・共同研究員):アイヌ文化形成過程に関する歴史民族学的検討
  • 渡邊 剛(北海道大学・理学研究院・講師):古環境復元指標に基づく古環境復元

研究概要

 北海道島における集団の移住拡散の動態についてみると、完新世以降も列島を北上または南下する集団移動の影響を受けつつ、先史人類集団やその文化の形成が行われてきたことがわかります。そして、縄文文化における土器文化の様相や居住様式に見られるように、北海道島内部の地域差は顕著です。集団・文化動態を把握し、その要因を理解するためには、物質文化に留まらない高精度の環境変動や人間の資源利用の解明が不可欠です。本研究班では居住様式や生業活動の変化など考古情報に基づく先史文化の転換点に注目し、それらと動物考古学からの家畜動物利用や地球環境学による古環境変化との対比を行います。加えて集団遺伝学や同位体科学による研究成果を統合し、人間活動と環境変動の相関性についてのモデルを構築し、集団と文化形成の復元を行います。同時に他班の複雑性の解明や環境適応過程に関する研究成果と統合することにより、研究項目B「日本列島における先史人類の拡散と地域性の解明」へとつなげ、「新たな学問領域であるintegrative bioarchaeology(統合生物考古学)の構築」に貢献したいと考えています。