佐野 雅規

研究代表者
国立歴史民俗博物館・研究部・特任准教授

研究概要

 考古材の産地が分かれば、当時の人々の行動範囲や他集団との交流、森林の利用実態が詳らかになります。本研究では、樹木年輪の酸素同位体比による汎用性の高い年代決定手法を応用するとともに、ストロンチウム同位体比という独立した指標を統合することにより、木材の産地を精度良く定量的に判別する手法の開発に取り組みます。具体的には、産地既知の現生木を日本各地から収集し、参照基準となる年輪酸素同位体比のデータセットとストロンチウム同位体比の空間マップを作成します。次に、これらのデータセットを用いて、産地既知の木材の産地を実際に推定して誤差を評価します。また、年輪酸素同位体比ネットワークと、今回作成するストロンチウム同位体比マップを用いて、考古材や古建築材の産地判別にも挑戦します。